『そして、海の泡になる』
巨
額
の
負
債
を
背
負
い
獄
中
で
死
ん
だ
女
性
投
資
家
・
朝
比
奈
ハ
ル
。
そ
の
生
涯
を
小
説
化
す
る
た
め
に
関
係
者
へ
の
聞
き
取
り
を
重
ね
る
「
私
」
の
視
点
で
語
ら
れ
る
本
作
は
、
読
み
手
を
ぐ
い
ぐ
い
引
き
込
む
圧
倒
的
な
力
を
持
っ
て
い
る
。
取
材
記
録
の
よ
う
な
独
特
の
語
り
口
が
生
み
出
す
リ
ア
リ
テ
ィ
は
格
別
で
、
ま
さ
に
優
れ
た
ド
キ
ュ
メ
ン
タ
リ
ー
を
見
て
い
る
か
の
よ
う
な
錯
覚
に
陥
る
。
戦
後
復
興
期
か
ら
高
度
経
済
成
長
、
そ
し
て
バ
ブ
ル
経
済
と
そ
の
崩
壊
ま
で
、
激
動
の
時
代
を
背
景
に
描
か
れ
る
一
人
の
人
間
の
栄
光
と
破
滅
は
、
単
な
る
個
人
史
を
超
え
た
壮
大
な
ス
ケ
ー
ル
を
感
じ
さ
せ
る
。
興
味
深
い
の
は
、
主
人
公
ハ
ル
と
い
う
女
性
の
人
物
像
が
決
し
て
一
面
的
で
な
い
こ
と
だ
。
読
み
進
め
る
に
つ
れ
て
彼
女
へ
の
評
価
は
揺
れ
動
き
、
善
悪
の
判
断
を
簡
単
に
は
下
せ
な
い
複
雑
さ
が
あ
る
。
こ
の
曖
昧
さ
こ
そ
が
人
間
の
真
実
な
の
だ
ろ
う
。
分
厚
い
一
冊
だ
が
、
テ
ン
ポ
の
良
い
文
章
に
気
が
つ
け
ば
物
語
の
深
み
に
は
ま
っ
て
い
る
自
分
が
い
る
。
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巨額の負債を背負い獄中で死んだ女性投資家・朝比奈ハル。その生涯を小説化するために関係者への聞き取りを重ねる「私」の視点で語られる本作は、読み手をぐいぐい引き込む圧倒的な力を持っている。 取材記録のような独特の語り口が生み出すリアリティは格別で、まさに優れたドキュメンタリーを見ているかのような錯覚に陥る。戦後復興期から高度経済成長、そしてバブル経済とその崩壊まで、激動の時代を背景に描かれる一人の人間の栄光と破滅は、単なる個人史を超えた壮大なスケールを感じさせる。 興味深いのは、主人公ハルという女性の人物像が決して一面的でないことだ。読み進めるにつれて彼女への評価は揺れ動き、善悪の判断を簡単には下せない複雑さがある。この曖昧さこそが人間の真実なのだろう。分厚い一冊だが、テンポの良い文章に気がつけば物語の深みにはまっている自分がいる。