読書感想文

面白い小説本気レビュー

背筋 文庫版 近畿地方のある場所について

『文庫版 近畿地方のある場所について』

著者:背筋

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『文庫版 近畿地方のある場所について』

背筋 著

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 この作品に出合った瞬間、何か特別な読書体験が始まることを直感した。編集者が集めた雑誌記事、取材メモ、ネット上の断片的な情報――一見バラバラに見える資料が、ページをめくるたびに不気味な輪郭を描き始める。まさに読者自身が探偵となって、散らばったピースを組み立てていく感覚だ。 特筆すべきは、その構成の巧みさである。伏せ字や欠落した部分が逆に想像力を刺激し、読み進めるほどに疑心暗鬼が募っていく。様々な媒体を模した文体の変化も、リアリティを高める効果的な演出として機能している。 しかし、この物語が単なる恐怖小説にとどまらないのは、背景に流れる深い悲しみにある。恐怖の奥に潜む人間の心の闇と、失われたものへの哀切な思いが、読了後も心に残り続ける。点と点が線になる瞬間の快感と、やがて訪れる静かな感動――これほど独創的なホラー体験は滅多に味わえるものではない。
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