読書感想文

面白い小説本気レビュー

近藤史恵 風待荘へようこそ

『風待荘へようこそ』

著者:近藤史恵

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『風待荘へようこそ』

近藤史恵 著

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 人生の半ばで突然すべてを失った女性の物語だが、読後感は驚くほど温かい。45歳の眞夏が直面する現実は確かに重く、彼女の置かれた状況に胸が痛くなる場面もある。しかし、京都という舞台と、そこで営まれるゲストハウスでの日常が、物語全体を包み込む優しさを生み出している。 特に印象深いのは、食べ物を通して描かれる人と人との繋がりだ。京都らしい季節感のある料理や、何気ない食卓での会話が、眞夏の心を少しずつ解きほぐしていく。多国籍の旅人たちとの交流も、新しい視点を与えてくれる清々しさがある。町家での生活描写は読んでいるだけで癒やされ、こんな場所で暮らしてみたいという憧れを抱かずにはいられない。 物語は派手な展開があるわけではないが、その静かな進行がかえって現実的で、眞夏の変化が丁寧に描かれている。人生をやり直すことの困難さと同時に、新しい出会いがもたらす希望を実感できる一冊である。
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