読書感想文

面白い小説本気レビュー

住野よる 告白撃

『告白撃』

著者:住野よる

Amazonへ

『告白撃』

住野よる 著

鹿
鹿

スワイプして続きを読む

 住野よるが描く青春小説の新たな一面に、思わず心をつかまれてしまった。社会人になった千鶴が親友に仕掛ける「告白撃」という突飛な計画は、一見馬鹿馬鹿しく映るが、その裏に潜む人間関係の機微が実に興味深い。 特徴的な語り口は確かに好みが分かれるところだろう。軽やかなテンポで進む会話劇は、時として主人公の行動に眉をひそめたくなる瞬間もある。しかし、そこにこそ作者の狙いがあるのだと感じる。大学時代からの友情が、社会人という新たなステージで変質していく過程を、この独特な文体が効果的に浮き彫りにしているのだ。 物語が進むにつれて、当初の軽いノリから一転、友情と恋愛の境界線が曖昧になる複雑な展開へと発展していく。計画が思わぬ方向へ転がっていく様子は、まさに青春の不確実性そのものを体現している。住野よるならではの、読者の感情を巧みに揺さぶる手腕が光る一冊である。
その他の本 Amazonへ