『棘の家』
教
師
で
あ
る
父
親
が
、
自
分
の
娘
が
い
じ
め
で
自
殺
を
図
る
と
い
う
最
悪
の
事
態
に
直
面
す
る
物
語
だ
。
事
な
か
れ
主
義
だ
っ
た
主
人
公
が
、
被
害
者
の
親
と
い
う
立
場
に
置
か
れ
た
時
の
心
境
の
変
化
が
痛
々
し
い
ほ
ど
リ
ア
ル
に
描
か
れ
て
い
る
。
学
校
側
の
対
応
に
憤
り
を
感
じ
な
が
ら
読
み
進
め
て
い
く
う
ち
に
、
い
つ
の
間
に
か
ミ
ス
テ
リ
ー
と
し
て
の
面
白
さ
に
引
き
込
ま
れ
て
い
く
構
成
が
見
事
で
あ
る
。
特
に
印
象
的
な
の
は
、
S
N
S
に
よ
る
加
害
者
特
定
や
炎
上
と
い
っ
た
現
代
的
な
問
題
を
織
り
交
ぜ
て
い
る
点
だ
。
ネ
ッ
ト
上
で
疑
わ
れ
た
少
女
の
名
前
が
拡
散
さ
れ
て
い
く
様
子
は
、
ま
さ
に
今
の
社
会
で
起
こ
り
う
る
恐
怖
そ
の
も
の
で
あ
る
。
家
族
内
で
も
疑
心
暗
鬼
が
広
が
り
、
信
頼
関
係
が
音
を
立
て
て
崩
れ
て
い
く
描
写
は
生
々
し
く
、
読
ん
で
い
て
胸
が
苦
し
く
な
る
。
中
山
七
里
氏
の
巧
み
な
筆
致
に
よ
り
、
読
者
は
最
後
ま
で
誰
が
真
の
加
害
者
な
の
か
わ
か
ら
な
い
状
態
で
物
語
に
翻
弄
さ
れ
る
。
正
義
と
悪
の
境
界
が
曖
昧
に
な
り
、
家
族
と
い
う
最
も
身
近
な
存
在
へ
の
疑
念
が
芽
生
え
る
瞬
間
の
描
き
方
は
秀
逸
だ
。
読
了
後
も
家
族
の
行
く
末
に
つ
い
て
考
え
続
け
て
し
ま
う
、
心
に
深
く
刺
さ
る
作
品
で
あ
る
。
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教師である父親が、自分の娘がいじめで自殺を図るという最悪の事態に直面する物語だ。事なかれ主義だった主人公が、被害者の親という立場に置かれた時の心境の変化が痛々しいほどリアルに描かれている。学校側の対応に憤りを感じながら読み進めていくうちに、いつの間にかミステリーとしての面白さに引き込まれていく構成が見事である。 特に印象的なのは、SNSによる加害者特定や炎上といった現代的な問題を織り交ぜている点だ。ネット上で疑われた少女の名前が拡散されていく様子は、まさに今の社会で起こりうる恐怖そのものである。家族内でも疑心暗鬼が広がり、信頼関係が音を立てて崩れていく描写は生々しく、読んでいて胸が苦しくなる。 中山七里氏の巧みな筆致により、読者は最後まで誰が真の加害者なのかわからない状態で物語に翻弄される。正義と悪の境界が曖昧になり、家族という最も身近な存在への疑念が芽生える瞬間の描き方は秀逸だ。読了後も家族の行く末について考え続けてしまう、心に深く刺さる作品である。