『この夏の星を見る 上』
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年
の
春
、
突
如
と
し
て
世
界
が
変
わ
っ
た
。
部
活
動
の
中
止
、
合
宿
の
取
り
や
め
、
友
達
と
会
う
こ
と
さ
え
憚
ら
れ
る
日
々
。
そ
ん
な
制
限
だ
ら
け
の
現
実
を
背
景
に
、
辻
村
深
月
が
描
く
若
者
た
ち
の
物
語
は
、
ま
さ
に
私
た
ち
が
体
験
し
た
あ
の
時
代
の
空
気
を
鮮
や
か
に
蘇
ら
せ
る
。
天
文
部
の
亜
紗
が
企
画
す
る
ス
タ
ー
キ
ャ
ッ
チ
コ
ン
テ
ス
ト
を
軸
に
、
茨
城
の
高
校
か
ら
渋
谷
の
中
学
生
、
五
島
列
島
の
少
女
ま
で
、
地
理
的
に
は
遠
く
離
れ
た
若
者
た
ち
が
星
空
と
い
う
共
通
の
希
望
で
結
ば
れ
て
い
く
構
図
は
実
に
美
し
い
。
そ
れ
ぞ
れ
が
抱
え
る
痛
み
や
迷
い
が
丁
寧
に
描
か
れ
な
が
ら
、
決
し
て
重
苦
し
く
な
る
こ
と
な
く
、
む
し
ろ
読
み
進
め
る
ほ
ど
に
心
が
温
か
く
な
っ
て
い
く
。
特
に
印
象
深
い
の
は
、
星
空
の
描
写
の
鮮
や
か
さ
で
あ
る
。
読
了
後
、
思
わ
ず
夜
空
を
見
上
げ
た
く
な
る
ほ
ど
の
美
し
さ
で
綴
ら
れ
た
天
体
観
測
の
シ
ー
ン
は
、
閉
塞
感
漂
う
日
常
に
一
筋
の
光
を
差
し
込
む
。
上
巻
だ
け
で
も
十
分
に
満
足
で
き
る
内
容
で
あ
り
な
が
ら
、
続
き
へ
の
期
待
が
膨
ら
む
秀
作
だ
。
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2020年の春、突如として世界が変わった。部活動の中止、合宿の取りやめ、友達と会うことさえ憚られる日々。そんな制限だらけの現実を背景に、辻村深月が描く若者たちの物語は、まさに私たちが体験したあの時代の空気を鮮やかに蘇らせる。 天文部の亜紗が企画するスターキャッチコンテストを軸に、茨城の高校から渋谷の中学生、五島列島の少女まで、地理的には遠く離れた若者たちが星空という共通の希望で結ばれていく構図は実に美しい。それぞれが抱える痛みや迷いが丁寧に描かれながら、決して重苦しくなることなく、むしろ読み進めるほどに心が温かくなっていく。 特に印象深いのは、星空の描写の鮮やかさである。読了後、思わず夜空を見上げたくなるほどの美しさで綴られた天体観測のシーンは、閉塞感漂う日常に一筋の光を差し込む。上巻だけでも十分に満足できる内容でありながら、続きへの期待が膨らむ秀作だ。