読書感想文

面白い小説本気レビュー

夕木春央 方舟

『方舟』

著者:夕木春央

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『方舟』

夕木春央 著

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 地下に閉じ込められ、迫りくる水位と戦いながら殺人事件の真相を追う―この設定だけでも十分に魅力的だが、夕木春央の『方舟』はそんな期待を遥かに超えてくる作品である。 読み始めた当初は、登場人物たちの行動や状況設定に首をかしげる場面もあった。しかし、それこそが作者の巧妙な仕掛けだったのだ。終盤に明かされる真相は、それまで感じていた小さな違和感を全て氷解させ、物語の印象を根底から覆してしまう。一週間という脱出のタイムリミットが生み出す緊迫感も相まって、ページをめくる手が止まらなくなる。 この種の閉鎖空間サスペンスが好きな読者なら、間違いなく夢中になれるはずだ。読了後は「最初から読み返したい」という衝動に駆られる、そんな稀有な読書体験を味わえる一冊である。
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