『老害の人』
内
館
牧
子
の
筆
力
が
光
る
社
会
派
小
説
で
あ
る
。
「
老
害
」
と
い
う
刺
激
的
な
タ
イ
ト
ル
に
惹
か
れ
て
手
に
取
っ
た
が
、
単
な
る
高
齢
者
批
判
で
は
な
く
、
人
間
の
根
深
い
承
認
欲
求
を
鋭
く
描
い
た
作
品
だ
っ
た
。
主
人
公
の
戸
山
福
太
郎
を
は
じ
め
、
様
々
な
タ
イ
プ
の
高
齢
者
が
登
場
す
る
。
彼
ら
の
言
動
は
確
か
に
周
囲
を
困
ら
せ
る
も
の
だ
が
、
そ
の
背
景
に
は
「
社
会
に
必
要
と
さ
れ
た
い
」
と
い
う
切
実
な
思
い
が
横
た
わ
っ
て
い
る
。
孫
の
話
題
に
な
る
と
表
情
を
輝
か
せ
る
場
面
な
ど
、
憎
め
な
い
人
間
味
も
丁
寧
に
描
か
れ
て
お
り
、
一
方
的
な
断
罪
で
は
な
い
視
点
が
印
象
深
い
。
コ
ロ
ナ
禍
と
い
う
時
代
設
定
も
効
果
的
で
、
変
化
す
る
社
会
の
中
で
居
場
所
を
見
失
っ
た
高
齢
者
の
心
情
が
リ
ア
ル
に
伝
わ
っ
て
く
る
。
読
み
な
が
ら
、
自
分
も
い
つ
か
同
じ
よ
う
な
行
動
を
取
っ
て
し
ま
う
の
で
は
な
い
か
と
い
う
不
安
と
反
省
が
湧
き
上
が
っ
た
。
年
齢
を
重
ね
て
も
学
び
続
け
る
謙
虚
さ
の
大
切
さ
を
痛
感
さ
せ
ら
れ
る
、
考
え
さ
せ
ら
れ
る
一
冊
で
あ
る
。
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内館牧子の筆力が光る社会派小説である。「老害」という刺激的なタイトルに惹かれて手に取ったが、単なる高齢者批判ではなく、人間の根深い承認欲求を鋭く描いた作品だった。 主人公の戸山福太郎をはじめ、様々なタイプの高齢者が登場する。彼らの言動は確かに周囲を困らせるものだが、その背景には「社会に必要とされたい」という切実な思いが横たわっている。孫の話題になると表情を輝かせる場面など、憎めない人間味も丁寧に描かれており、一方的な断罪ではない視点が印象深い。 コロナ禍という時代設定も効果的で、変化する社会の中で居場所を見失った高齢者の心情がリアルに伝わってくる。読みながら、自分もいつか同じような行動を取ってしまうのではないかという不安と反省が湧き上がった。年齢を重ねても学び続ける謙虚さの大切さを痛感させられる、考えさせられる一冊である。