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面白い小説本気レビュー

中脇初枝 伝言

『伝言』

著者:中脇初枝

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『伝言』

中脇初枝 著

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 戦時下の満洲・新京を舞台にした本作は、表面的には児童文学のような装いを持ちながら、その中身は驚くほど重厚で複雑な構成を持つ作品である。女学生ひろみの視点から描かれる日常には、常に戦争の影が色濃く差している。 特に印象的なのは、物資不足や勤労動員といった「非常時」が、いつの間にか「日常」として受け入れられていく恐ろしさである。作者は教科書では決して感じることのできない、当時の空気感を見事に再現している。和紙作りの工場での労働や、街の風景描写からは、その時代を生きた人々の息遣いが聞こえてくるようだ。 物語全体を貫く「運」という言葉が胸に深く刺さる。生死や立場を決める偶然の残酷さ、戦争が引き裂く人と人との絆の温かさと痛み。そして何より、恥部も含めて記憶を語り継ぐことの重要性を、この作品は静かに、しかし力強く訴えかけてくる。
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