読書感想文

面白い小説本気レビュー

日向夏 薬屋のひとりごと 16

『薬屋のひとりごと 16』

著者:日向夏

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『薬屋のひとりごと 16』

日向夏 著

1
6
姿
彿

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 致命的な感染症の蔓延という重いテーマを軸に、『薬屋のひとりごと』らしい医療ミステリが展開される第16巻。疱瘡という恐ろしい病に立ち向かう猫猫の姿は、まさに現代の感染症対策を彷彿とさせ、読んでいて身が引き締まる思いがした。 特に印象深いのは、病気への対処法を模索する中で描かれる人間関係の複雑さである。善意から生まれる行動が時として予期せぬ結果を招き、一方で悪意に見えるものの中にも理由がある。克用という人物の存在が物語に深みを与え、単純な勧善懲悪では片付けられない人間の本質を浮き彫りにしている。 医学的な知識と推理が巧みに絡み合い、後宮の政治的な駆け引きも織り交ぜられて、最後まで緊張感を保ったまま読み進められる。種痘という概念が登場する場面では、医学史への興味も湧いてくる。シリーズを重ねるごとに深化していく物語世界に、改めて魅了された。
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