読書感想文

面白い小説本気レビュー

今野敏 海風

『海風』

著者:今野敏

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『海風』

今野敏 著

姿
調

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 薩長中心の幕末ものに食傷気味だった私にとって、この作品は実に新鮮な驚きだった。黒船来航で混乱する日本を、幕府の若手官僚たちの目線から描いているのである。彼らが現実的な解決策を模索し、困難な対外交渉に臨む姿は、まさに現代のサラリーマンそのものだ。 今野敏氏の筆致の巧みさは、何といっても会話の自然さにある。幕末の人物たちが現代風の口調で語り合うのだが、これが奇妙にしっくりくるのだ。複雑な政治情勢や外交問題も、登場人物の会話を通じて分かりやすく説明されており、歴史小説に慣れない読者でも楽に読み進められる。 特に印象深いのは、勝海舟をはじめとする歴史上の人物たちの独創的な描写である。教科書で見知った偉人たちが、生身の人間として血の通った存在に生まれ変わる瞬間は、読書の醍醐味そのものだった。幕府側から見た幕末史の新たな魅力を発見できる一冊である。
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