読書感想文

面白い小説本気レビュー

原田ひ香 喫茶おじさん

『喫茶おじさん』

著者:原田ひ香

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『喫茶おじさん』

原田ひ香 著

5
7
姿

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 会社を辞めた57歳の男性が、一人で純喫茶を巡り歩く日々を描いた作品である。別居中の妻、仕事への迷い、老後への漠然とした不安──そんな重いテーマを扱いながらも、読後感は驚くほど穏やかで温かい。 何より魅力的なのは、各店舗の丁寧な描写だ。古びた内装、マスターの人柄、常連客の様子まで、まるで自分もカウンターに座っているような臨場感がある。主人公が味わうコーヒーの香りやタマゴサンドの食感まで伝わってきて、読んでいると無性に純喫茶に足を向けたくなってしまう。 中年男性の心境が実に巧妙に描かれており、孤独感や焦燥感がひしひしと伝わってくる。それでいて自嘲的すぎず、希望を失わない主人公の姿勢に心を打たれる。劇的な展開があるわけではないが、ページをめくる手が止まらない不思議な吸引力を持った一冊である。
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