『小説8050』
歯
科
医
で
あ
る
父
親
の
目
線
で
語
ら
れ
る
、
中
年
の
引
き
こ
も
り
を
抱
え
た
家
族
の
物
語
で
あ
る
。
息
子
が
7
年
間
も
部
屋
に
閉
じ
こ
も
る
現
状
に
、
両
親
は
長
い
間
「
そ
っ
と
し
て
お
け
ば
」
と
い
う
希
望
的
観
測
で
対
処
し
て
き
た
。
し
か
し
現
実
は
甘
く
な
い
。
暴
力
的
に
な
っ
た
息
子
へ
の
恐
怖
、
世
間
体
へ
の
不
安
、
そ
し
て
娘
の
結
婚
話
に
影
を
落
と
す
家
庭
の
事
情
。
林
真
理
子
は
容
赦
な
く
、
こ
の
現
代
家
族
が
抱
え
る
闇
を
照
ら
し
出
し
て
い
く
。
読
ん
で
い
て
胸
が
苦
し
く
な
る
場
面
が
続
く
。
特
に
息
子
の
言
動
や
家
族
間
の
緊
張
感
は
、
リ
ア
リ
テ
ィ
が
あ
ま
り
に
強
烈
で
、
読
者
の
心
を
え
ぐ
っ
て
く
る
。
8
0
5
0
問
題
と
い
う
社
会
課
題
が
「
遠
い
世
界
の
話
」
で
は
な
い
こ
と
を
痛
感
さ
せ
ら
れ
る
。
父
親
が
息
子
の
過
去
を
振
り
返
り
、
い
じ
め
と
い
う
根
深
い
問
題
に
向
き
合
っ
て
い
く
過
程
は
、
読
者
に
と
っ
て
も
感
情
的
な
体
験
と
な
る
だ
ろ
う
。
終
盤
の
展
開
は
予
想
を
超
え
る
重
さ
だ
が
、
そ
こ
に
込
め
ら
れ
た
家
族
再
生
へ
の
願
い
に
は
希
望
の
光
が
見
え
る
。
現
代
社
会
の
病
理
を
鋭
く
描
き
な
が
ら
も
、
人
間
へ
の
信
頼
を
失
わ
な
い
林
真
理
子
の
筆
力
に
感
服
し
た
一
冊
で
あ
る
。
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歯科医である父親の目線で語られる、中年の引きこもりを抱えた家族の物語である。息子が7年間も部屋に閉じこもる現状に、両親は長い間「そっとしておけば」という希望的観測で対処してきた。しかし現実は甘くない。暴力的になった息子への恐怖、世間体への不安、そして娘の結婚話に影を落とす家庭の事情。林真理子は容赦なく、この現代家族が抱える闇を照らし出していく。 読んでいて胸が苦しくなる場面が続く。特に息子の言動や家族間の緊張感は、リアリティがあまりに強烈で、読者の心をえぐってくる。8050問題という社会課題が「遠い世界の話」ではないことを痛感させられる。父親が息子の過去を振り返り、いじめという根深い問題に向き合っていく過程は、読者にとっても感情的な体験となるだろう。 終盤の展開は予想を超える重さだが、そこに込められた家族再生への願いには希望の光が見える。現代社会の病理を鋭く描きながらも、人間への信頼を失わない林真理子の筆力に感服した一冊である。