読書感想文

面白い小説本気レビュー

宇津木健太郎 猫と罰

『猫と罰』

著者:宇津木健太郎

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『猫と罰』

宇津木健太郎 著

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 夏目漱石とともに暮らした黒猫が九度の転生を重ね、ついに最後の生を迎える。この設定だけでも心を掴まれるが、本作の真価はそこからの展開にある。記憶を保持したまま生まれ変わる黒猫の視点で描かれる日本の歴史は、美しくもあり、残酷でもある。 八度の猫生で目撃した人間の欺瞒や時代の暗部は読む者の心を重くし、主人公の人間不信も当然に思えてくる。しかし、古書店「北斗堂」での出会いが物語に新たな光をもたらす。店主・北星との交流を通じて、傷ついた魂が徐々に癒されていく過程は深く胸に響く。 本作が単なる猫小説に留まらないのは、文学そのものへの愛が随所に込められているからだろう。物語を紡ぐ意味、言葉の持つ力について考えさせられる。ファンタジー要素も巧みに織り込まれ、現実と幻想の境界が曖昧になる独特の世界観を創り出している。読後には、きっと本への愛がより深まっているはずだ。
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