『方舟を燃やす』
角
田
光
代
が
描
く
現
代
社
会
の
闇
と
光
が
、
こ
れ
ほ
ど
ま
で
に
胸
に
迫
っ
て
く
る
と
は
思
わ
な
か
っ
た
。
口
裂
け
女
の
噂
が
飛
び
交
う
昭
和
か
ら
、
災
害
や
パ
ン
デ
ミ
ッ
ク
が
現
実
と
な
る
令
和
ま
で
、
時
代
の
流
れ
と
と
も
に
変
化
す
る
「
不
安
」
の
正
体
を
、
二
人
の
主
人
公
の
人
生
を
軸
に
丁
寧
に
紡
ぎ
出
し
て
い
る
。
特
に
印
象
深
い
の
は
、
真
摯
に
生
き
よ
う
と
す
る
人
々
が
、
か
え
っ
て
社
会
か
ら
孤
立
し
て
い
く
皮
肉
な
構
図
で
あ
る
。
フ
ェ
イ
ク
ニ
ュ
ー
ス
や
陰
謀
論
が
渦
巻
く
情
報
社
会
で
、
何
を
信
じ
、
何
を
疑
う
べ
き
な
の
か
。
作
品
は
安
易
な
答
え
を
提
示
せ
ず
、
読
者
に
深
い
思
考
を
促
す
。
善
悪
の
境
界
線
が
曖
昧
な
登
場
人
物
た
ち
の
人
間
性
こ
そ
が
、
こ
の
物
語
に
説
得
力
を
与
え
て
い
る
。
序
盤
こ
そ
静
か
な
歩
み
を
見
せ
る
も
の
の
、
や
が
て
二
つ
の
人
生
が
交
わ
る
瞬
間
へ
の
期
待
が
高
ま
り
、
気
が
つ
け
ば
夢
中
に
な
っ
て
読
み
進
め
て
い
た
。
読
了
後
に
残
る
重
厚
な
余
韻
は
、
ま
さ
に
こ
の
時
代
を
生
き
る
我
々
へ
の
問
い
か
け
そ
の
も
の
で
あ
る
。
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角田光代が描く現代社会の闇と光が、これほどまでに胸に迫ってくるとは思わなかった。口裂け女の噂が飛び交う昭和から、災害やパンデミックが現実となる令和まで、時代の流れとともに変化する「不安」の正体を、二人の主人公の人生を軸に丁寧に紡ぎ出している。 特に印象深いのは、真摯に生きようとする人々が、かえって社会から孤立していく皮肉な構図である。フェイクニュースや陰謀論が渦巻く情報社会で、何を信じ、何を疑うべきなのか。作品は安易な答えを提示せず、読者に深い思考を促す。善悪の境界線が曖昧な登場人物たちの人間性こそが、この物語に説得力を与えている。 序盤こそ静かな歩みを見せるものの、やがて二つの人生が交わる瞬間への期待が高まり、気がつけば夢中になって読み進めていた。読了後に残る重厚な余韻は、まさにこの時代を生きる我々への問いかけそのものである。