『夜の道標』
芦
沢
央
の
筆
が
描
き
出
す
の
は
、
1
9
9
6
年
に
起
き
た
塾
経
営
者
殺
害
事
件
を
軸
と
し
た
重
層
的
な
物
語
で
あ
る
。
事
件
に
関
わ
る
複
数
の
人
物
た
ち
が
そ
れ
ぞ
れ
の
視
点
か
ら
語
ら
れ
て
い
く
構
成
は
、
読
む
者
を
自
然
と
推
理
の
世
界
へ
と
引
き
込
ん
で
い
く
。
こ
の
作
品
の
魅
力
は
、
読
み
進
め
る
ご
と
に
物
語
の
表
情
が
変
化
し
て
い
く
点
に
あ
る
。
序
盤
で
抱
い
た
印
象
は
中
盤
で
揺
ら
ぎ
、
終
盤
で
全
く
違
っ
た
顔
を
見
せ
る
展
開
は
実
に
巧
妙
だ
。
殺
人
犯
を
匿
う
女
性
、
窓
際
に
追
い
や
ら
れ
た
刑
事
、
虐
待
と
い
う
現
実
に
直
面
す
る
少
年
—
—
彼
ら
が
抱
え
る
「
守
り
た
い
も
の
」
へ
の
執
着
が
、
予
想
も
し
な
い
形
で
交
差
し
て
い
く
様
は
圧
巻
で
あ
る
。
特
筆
す
べ
き
は
、
登
場
人
物
た
ち
の
心
理
描
写
の
深
さ
で
あ
る
。
誰
も
が
苦
し
い
状
況
に
置
か
れ
な
が
ら
も
、
そ
れ
ぞ
れ
の
正
義
を
貫
こ
う
と
す
る
姿
に
胸
を
打
た
れ
る
。
法
律
と
道
徳
の
狭
間
で
揺
れ
る
人
間
の
複
雑
さ
を
、
こ
れ
ほ
ど
丁
寧
に
描
い
た
作
品
は
珍
し
い
。
読
了
後
は
、
正
義
と
は
何
か
、
守
る
べ
き
も
の
と
は
何
か
を
深
く
考
え
さ
せ
ら
れ
る
余
韻
に
包
ま
れ
る
。
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芦沢央の筆が描き出すのは、1996年に起きた塾経営者殺害事件を軸とした重層的な物語である。事件に関わる複数の人物たちがそれぞれの視点から語られていく構成は、読む者を自然と推理の世界へと引き込んでいく。 この作品の魅力は、読み進めるごとに物語の表情が変化していく点にある。序盤で抱いた印象は中盤で揺らぎ、終盤で全く違った顔を見せる展開は実に巧妙だ。殺人犯を匿う女性、窓際に追いやられた刑事、虐待という現実に直面する少年——彼らが抱える「守りたいもの」への執着が、予想もしない形で交差していく様は圧巻である。 特筆すべきは、登場人物たちの心理描写の深さである。誰もが苦しい状況に置かれながらも、それぞれの正義を貫こうとする姿に胸を打たれる。法律と道徳の狭間で揺れる人間の複雑さを、これほど丁寧に描いた作品は珍しい。読了後は、正義とは何か、守るべきものとは何かを深く考えさせられる余韻に包まれる。