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面白い小説本気レビュー

逢坂冬馬 同志少女よ、敵を撃て

『同志少女よ、敵を撃て』

著者:逢坂冬馬

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『同志少女よ、敵を撃て』

逢坂冬馬 著

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 物語は衝撃的な幕開けで読者を戦場へと引きずり込む。家族を失った少女セラフィマが直面する「戦うか、死ぬか」という究極の選択は、戦争が人間に突きつける残酷な現実そのものだ。教官イリーナの厳しい言葉に込められた哀しみと覚悟が、読む者の胸を深く打つ。 狙撃兵として戦場に身を置くセラフィマの成長と葛藤が、戦争という極限状況における人間性の在り方を浮き彫りにする。仲間との絆と対立、敵との遭遇における複雑な感情は、善悪の境界線を曖昧にし、読者に深い思索を促す。特に女性たちが築く連帯の描写は、過酷な状況下でも失われない人間らしさを丁寧に描いている。 タイトルが示す意味が物語の展開とともに重層的に浮かび上がり、読み進めるほどに作品全体の構造の巧妙さに唸らされる。戦争の描写は容赦なく重いが、それゆえに伝わる真実の重さがある。読後、長く心に残り続ける骨太な作品である。
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