読書感想文

面白い小説本気レビュー

伊坂幸太郎 死神の浮力

『死神の浮力』

著者:伊坂幸太郎

Amazonへ

『死神の浮力』

伊坂幸太郎 著

スワイプして続きを読む

 愛する娘を奪われた親の絶望と怒りを描いた復讐劇に、なんと死神が同行するという前代未聞の設定に度肝を抜かれた。この死神・千葉の存在が物語に絶妙なバランスをもたらしている。 重苦しくなりがちなテーマを、千葉の飄々とした人柄と的外れな発言が程よく中和し、読者を最後まで引っ張っていく力は圧巻だ。凶悪な相手との心理的な駆け引きは手に汗握る緊迫感があり、長編でありながら一息で読み切ってしまう面白さがある。 特筆すべきは、千葉が下す「可」「不可」の判断が物語全体に漂う不思議な浮遊感を演出していることだ。この浮遊感こそがタイトルに込められた意味なのだと、読み終えて深く納得させられる。復讐という重いテーマを扱いながらも、どこか軽やかさを失わない伊坂幸太郎の筆力に改めて感服した一冊である。
その他の本 Amazonへ