『マリエ』
人
生
の
転
機
は
、
時
と
し
て
思
い
も
よ
ら
ぬ
形
で
訪
れ
る
。
千
早
茜
の
『
マ
リ
エ
』
は
、
ま
さ
に
そ
ん
な
瞬
間
か
ら
始
ま
る
物
語
で
あ
る
。
4
0
歳
を
前
に
し
て
夫
か
ら
告
げ
ら
れ
た
離
婚
の
言
葉
に
戸
惑
う
主
人
公
の
姿
は
、
多
く
の
読
者
に
と
っ
て
決
し
て
他
人
事
で
は
な
い
だ
ろ
う
。
し
か
し
、
こ
の
作
品
の
真
価
は
、
離
婚
と
い
う
出
来
事
を
単
な
る
「
失
敗
」
と
し
て
描
か
な
い
と
こ
ろ
に
あ
る
。
一
人
暮
ら
し
を
始
め
た
主
人
公
が
、
誰
か
の
期
待
に
応
え
る
の
で
は
な
く
、
自
分
の
心
の
声
に
耳
を
傾
け
る
よ
う
に
な
る
過
程
は
、
静
か
な
が
ら
も
力
強
い
感
動
を
呼
ぶ
。
年
下
の
男
性
と
の
関
係
性
も
含
め
、
大
人
の
恋
愛
を
丁
寧
に
描
い
た
筆
致
は
見
事
だ
。
コ
ロ
ナ
禍
と
い
う
予
期
せ
ぬ
事
態
も
物
語
に
織
り
込
ま
れ
、
人
生
の
不
確
実
性
と
向
き
合
う
現
代
的
な
テ
ー
マ
が
浮
か
び
上
が
る
。
「
い
い
人
」
で
い
る
こ
と
に
疲
れ
た
人
、
自
分
の
人
生
を
見
つ
め
直
し
た
い
人
に
と
っ
て
、
こ
の
作
品
は
確
実
に
心
の
支
え
と
な
る
は
ず
で
あ
る
。
読
了
後
に
は
、
自
分
ら
し
く
生
き
る
こ
と
の
尊
さ
を
改
め
て
実
感
す
る
こ
と
だ
ろ
う
。
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人生の転機は、時として思いもよらぬ形で訪れる。千早茜の『マリエ』は、まさにそんな瞬間から始まる物語である。40歳を前にして夫から告げられた離婚の言葉に戸惑う主人公の姿は、多くの読者にとって決して他人事ではないだろう。 しかし、この作品の真価は、離婚という出来事を単なる「失敗」として描かないところにある。一人暮らしを始めた主人公が、誰かの期待に応えるのではなく、自分の心の声に耳を傾けるようになる過程は、静かながらも力強い感動を呼ぶ。年下の男性との関係性も含め、大人の恋愛を丁寧に描いた筆致は見事だ。 コロナ禍という予期せぬ事態も物語に織り込まれ、人生の不確実性と向き合う現代的なテーマが浮かび上がる。「いい人」でいることに疲れた人、自分の人生を見つめ直したい人にとって、この作品は確実に心の支えとなるはずである。読了後には、自分らしく生きることの尊さを改めて実感することだろう。