読書感想文

面白い小説本気レビュー

小西マサテル 名探偵のままでいて

『名探偵のままでいて』

著者:小西マサテル

Amazonへ

『名探偵のままでいて』

小西マサテル 著

スワイプして続きを読む

 認知症というデリケートな題材を扱いながら、これほど温かく希望に満ちたミステリーを読んだのは初めてかもしれない。元小学校校長の祖父が、孫娘・楓の語る身近な謎に向き合うとき、まるで霧が晴れるように頭脳が冴え渡る描写は圧巻だ。 安楽椅子探偵として活躍する祖父の推理は、決して派手ではないが確かな説得力を持つ。何より、祖父と孫の会話から溢れる愛情が読者の心を温める。楓が祖父を慕い、祖父もまた孫娘を心から愛している関係性が、物語全体に深い情感をもたらしている。 連作形式で進む日常の謎解きが、後半では予想外の大きな展開へと繋がっていく構成も見事だ。認知症という現実を受け入れながらも、人間の尊厳と知性の輝きを描いた本作は、推理小説の新たな可能性を示してくれる。家族の絆と謎解きの醍醐味を同時に味わえる、心に残る一冊である。
その他の本 Amazonへ