読書感想文

面白い小説本気レビュー

土屋うさぎ 謎の香りはパン屋から

『謎の香りはパン屋から』

著者:土屋うさぎ

Amazonへ

『謎の香りはパン屋から』

土屋うさぎ 著

スワイプして続きを読む

 漫画家志望の大学生・市倉小春がアルバイトするパン屋を舞台に展開される、何とも温かなミステリー作品である。友人との約束がキャンセルされた理由から始まる物語は、殺人や盗難といった派手な事件ではなく、日常に潜む小さな謎を丁寧に描き出している。 この作品の魅力は、主人公の鋭い観察眼と推理力にある。些細な変化や違和感を見逃さない小春の視点を通して、読者も一緒になって謎解きに参加できる構成が実に巧妙だ。また、パン作りの工程や焼きたての香り、店内の雰囲気などの描写が非常にリアルで、読んでいるうちに実際にパン屋を訪れたくなってしまう。 連作形式で一話完結のため読みやすく、それでいて小春の成長や人間関係の変化も丁寧に描かれている。ミステリーでありながら全体に流れる優しい空気感が心地よく、読み終えた後は温かな気持ちに包まれる一冊である。
その他の本 Amazonへ