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面白い小説本気レビュー

松下龍之介 一次元の挿し木

『一次元の挿し木』

著者:松下龍之介

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『一次元の挿し木』

松下龍之介 著

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 遺伝人類学という学問分野を舞台にしたミステリーは珍しく、冒頭から度肝を抜かれる設定に心を奪われた。200年前の古人骨と現代の失踪事件が科学的証拠によって結びつく発想は斬新で、DNA鑑定という現代科学の手法が物語の核心に据えられている点が実に興味深い。 物語の推進力は圧倒的で、次から次へと提示される謎に翻弄されながら、気がつけば夜更けまで読み続けていた。遺伝学の専門知識が単なる装飾ではなく、推理の論理的な基盤として機能しているため、科学的な説得力を感じながら読み進めることができる。文体も簡潔で読みやすく、複雑な情報が整理されて提示されるため、理解に迷うことがない。 最も印象的だったのは、科学が示す「血のつながり」が希望にも絶望にも転じうる両義性である。DNA鑑定という客観的な手法が導き出す真実が、登場人物たちの運命を左右していく展開には、現代科学への深い洞察を感じた。想像以上に壮大な構想で描かれる物語の結末まで、息をつかせない緊張感が持続する力作である。
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