読書感想文

面白い小説本気レビュー

四島祐之介 アナヅラさま

『アナヅラさま』

著者:四島祐之介

Amazonへ

『アナヅラさま』

四島祐之介 著

スワイプして続きを読む

 表紙のインパクトに身構えて手に取ったが、読み始めてすぐにその世界観に引き込まれてしまった。顔に穴の空いた怪物「アナヅラさま」という都市伝説の不気味さが、最初から読者を掴んで離さない。ホラー小説かと思いきや、私立探偵による本格的な推理が展開されていく構成に驚かされる。 物語が進むにつれて、追う者と追われる者の視点が巧みに切り替わり、読者の認識を揺さぶってくる。この手法が実に効果的で、途中で作品の印象がガラリと変わる瞬間は鳥肌ものである。グロテスクな設定にも関わらず、文章は軽やかで読みやすく、ページをめくる手が止まらない。 犯人側の心理描写も秀逸で、単純な善悪の図式では語れない複雑さがある。最終的にはきちんとしたミステリとして着地しており、読み終えた時の満足感は想像以上だった。エンタメ小説としての完成度の高さを実感する一冊である。
その他の本 Amazonへ