『能面検事の死闘』
現
代
社
会
の
病
理
を
鋭
く
え
ぐ
り
出
す
、
中
山
七
里
の
力
作
で
あ
る
。
無
差
別
殺
人
事
件
の
発
生
か
ら
始
ま
る
物
語
は
、
冒
頭
か
ら
息
つ
く
暇
も
な
い
ほ
ど
の
ス
ピ
ー
ド
感
で
読
者
を
引
き
込
ん
で
い
く
。
特
に
印
象
的
な
の
は
、
事
件
を
取
り
巻
く
ネ
ッ
ト
世
論
の
描
写
だ
。
加
害
者
へ
の
歪
ん
だ
共
感
や
擁
護
の
声
が
渦
巻
く
様
子
は
、
ま
さ
に
現
実
と
地
続
き
の
恐
ろ
し
さ
を
感
じ
さ
せ
る
。
物
語
の
中
核
を
成
す
の
は
、
不
破
検
事
に
よ
る
緻
密
な
捜
査
過
程
で
あ
る
。
派
手
さ
は
な
い
も
の
の
、
一
つ
ひ
と
つ
の
証
拠
を
丁
寧
に
積
み
重
ね
て
い
く
地
道
な
作
業
こ
そ
が
、
こ
の
作
品
の
真
骨
頂
と
言
え
る
だ
ろ
う
。
読
者
も
探
偵
役
と
な
っ
て
犯
人
像
を
推
理
し
な
が
ら
読
み
進
め
ら
れ
る
た
め
、
最
後
の
真
相
解
明
で
は
深
い
納
得
感
を
味
わ
え
る
。
シ
リ
ー
ズ
第
3
弾
と
い
う
こ
と
で
登
場
人
物
た
ち
の
関
係
性
も
安
定
し
て
お
り
、
初
読
者
で
も
入
り
や
す
い
構
成
と
な
っ
て
い
る
。
不
破
検
事
の
冷
静
沈
着
な
魅
力
と
、
社
会
派
ミ
ス
テ
リ
ー
と
し
て
の
重
厚
な
読
み
応
え
を
併
せ
持
つ
傑
作
だ
。
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現代社会の病理を鋭くえぐり出す、中山七里の力作である。無差別殺人事件の発生から始まる物語は、冒頭から息つく暇もないほどのスピード感で読者を引き込んでいく。特に印象的なのは、事件を取り巻くネット世論の描写だ。加害者への歪んだ共感や擁護の声が渦巻く様子は、まさに現実と地続きの恐ろしさを感じさせる。 物語の中核を成すのは、不破検事による緻密な捜査過程である。派手さはないものの、一つひとつの証拠を丁寧に積み重ねていく地道な作業こそが、この作品の真骨頂と言えるだろう。読者も探偵役となって犯人像を推理しながら読み進められるため、最後の真相解明では深い納得感を味わえる。 シリーズ第3弾ということで登場人物たちの関係性も安定しており、初読者でも入りやすい構成となっている。不破検事の冷静沈着な魅力と、社会派ミステリーとしての重厚な読み応えを併せ持つ傑作だ。