読書感想文

面白い小説本気レビュー

薬丸岳 罪の境界

『罪の境界』

著者:薬丸岳

Amazonへ

『罪の境界』

薬丸岳 著

辿

スワイプして続きを読む

 凶悪事件の加害者に焦点を当てたとき、我々は何を見つめるべきなのか。薬丸岳が投げかけるこの問いは、読者の心に深く刺さる。無差別通り魔事件を起こした男と、その真実を追うフリーライターという設定から始まる物語は、単なる犯罪小説の枠を超えた社会派作品として展開される。 特筆すべきは、加害者・被害者の両サイドから事件を見つめる複層的な視点である。生い立ちを辿る過程で浮かび上がる家族の問題、虐待の連鎖、そして社会の歪み。読み進めるうちに、善悪の境界線がいかに曖昧で複雑なものかを思い知らされる。重いテーマながらも文章は読みやすく、一気に読み進めてしまう吸引力がある。 読み終えた時、タイトルの「境界」という言葉が持つ重層的な意味に気づかされるだろう。これは犯罪と日常の境界だけでなく、人間として踏み越えてはならない一線、そして許しと断罪の境界をも問いかける作品である。
その他の本 Amazonへ