『ハヤディール戀記(上) 攫われた神妃』
町
田
そ
の
こ
の
新
境
地
と
も
言
え
る
本
作
は
、
一
見
王
道
フ
ァ
ン
タ
ジ
ー
の
よ
う
な
装
い
で
あ
り
な
が
ら
、
実
は
骨
太
な
宮
廷
ミ
ス
テ
リ
ー
と
い
う
二
重
構
造
が
実
に
巧
妙
で
あ
る
。
神
に
仕
え
る
巫
女
エ
ス
タ
の
突
然
の
失
踪
と
、
同
時
期
に
起
き
た
第
一
王
女
の
毒
殺
事
件
—
—
こ
の
二
つ
の
謎
が
絡
み
合
い
な
が
ら
、
ハ
ヤ
デ
ィ
ー
ル
王
国
の
暗
部
を
浮
か
び
上
が
ら
せ
て
い
く
構
成
に
、
最
初
か
ら
最
後
ま
で
目
が
離
せ
な
か
っ
た
。
特
筆
す
べ
き
は
現
在
と
過
去
を
往
復
す
る
語
り
の
技
法
で
、
断
片
的
に
明
か
さ
れ
る
真
実
の
ピ
ー
ス
が
徐
々
に
つ
な
が
っ
て
い
く
快
感
は
、
ま
さ
に
本
格
ミ
ス
テ
リ
ー
の
醍
醐
味
そ
の
も
の
だ
。
エ
ス
タ
と
騎
士
団
長
レ
ル
フ
ァ
ン
の
禁
断
の
恋
と
い
う
甘
美
な
要
素
を
軸
に
し
な
が
ら
、
王
宮
の
権
力
争
い
や
古
い
因
縁
と
い
っ
た
重
厚
な
テ
ー
マ
を
巧
み
に
織
り
込
ん
で
い
る
。
上
巻
の
終
盤
で
明
か
さ
れ
る
衝
撃
の
事
実
は
、
こ
れ
ま
で
積
み
上
げ
て
き
た
謎
を
さ
ら
に
深
め
る
仕
掛
け
と
な
っ
て
お
り
、
下
巻
へ
の
期
待
は
否
が
応
で
も
高
ま
る
。
フ
ァ
ン
タ
ジ
ー
と
ミ
ス
テ
リ
ー
、
そ
し
て
恋
愛
と
い
う
異
な
る
要
素
が
見
事
に
調
和
し
た
、
新
し
い
物
語
の
可
能
性
を
感
じ
さ
せ
る
一
冊
で
あ
る
。
スワイプして続きを読む
町田そのこの新境地とも言える本作は、一見王道ファンタジーのような装いでありながら、実は骨太な宮廷ミステリーという二重構造が実に巧妙である。神に仕える巫女エスタの突然の失踪と、同時期に起きた第一王女の毒殺事件——この二つの謎が絡み合いながら、ハヤディール王国の暗部を浮かび上がらせていく構成に、最初から最後まで目が離せなかった。 特筆すべきは現在と過去を往復する語りの技法で、断片的に明かされる真実のピースが徐々につながっていく快感は、まさに本格ミステリーの醍醐味そのものだ。エスタと騎士団長レルファンの禁断の恋という甘美な要素を軸にしながら、王宮の権力争いや古い因縁といった重厚なテーマを巧みに織り込んでいる。 上巻の終盤で明かされる衝撃の事実は、これまで積み上げてきた謎をさらに深める仕掛けとなっており、下巻への期待は否が応でも高まる。ファンタジーとミステリー、そして恋愛という異なる要素が見事に調和した、新しい物語の可能性を感じさせる一冊である。