読書感想文

面白い小説本気レビュー

伊坂幸太郎 さよならジャバウォック

『さよならジャバウォック』

著者:伊坂幸太郎

Amazonへ

『さよならジャバウォック』

伊坂幸太郎 著

スワイプして続きを読む

 結婚生活で追い詰められた妻が直面する極限状況から始まる本作は、読み手の認識そのものを揺さぶる巧妙な仕掛けに満ちている。夫の突然の変化、訪れる後輩、そして幼い息子の存在—これらの要素が絡み合いながら、現実と非現実の境界線を曖昧にしていく展開は圧巻だ。 著者特有のドライな文体が、登場人物たちの心理的混乱を冷静に描写し、読者は主人公と同じように困惑しながらページをめくることになる。近未来的な設定が物語に独特の雰囲気を与え、日常の中に潜む不安や恐怖を巧みに演出している。 何より印象的なのは、絶望的な状況の中でも諦めない人間の強さを描いた点である。混沌とした現実の中で見つける小さな希望の光が、読後に温かな余韻を残してくれる。人生に迷いを感じている人にこそ読んでほしい、心に響く一冊だ。
その他の本 Amazonへ