『8番出口』
地
下
通
路
と
い
う
閉
ざ
さ
れ
た
空
間
で
展
開
す
る
、
こ
れ
ま
で
に
な
い
読
書
体
験
だ
っ
た
。
主
人
公
が
歩
き
続
け
る
薄
暗
い
通
路
は
、
ま
さ
に
私
た
ち
の
日
常
の
比
喩
そ
の
も
の
。
同
じ
景
色
、
同
じ
選
択
、
同
じ
後
悔
の
繰
り
返
し
と
い
う
設
定
が
、
読
み
進
め
る
う
ち
に
深
い
意
味
を
帯
び
て
く
る
。
川
村
元
気
の
筆
致
は
軽
や
か
で
あ
り
な
が
ら
、
中
年
男
性
の
心
境
を
丁
寧
に
掬
い
上
げ
て
い
る
。
異
変
を
探
し
な
が
ら
歩
く
緊
張
感
と
、
ふ
と
し
た
瞬
間
に
蘇
る
記
憶
の
断
片
が
絶
妙
に
組
み
合
わ
さ
り
、
ペ
ー
ジ
を
め
く
る
手
が
止
ま
ら
な
い
。
特
に
紙
面
の
構
成
が
工
夫
さ
れ
て
お
り
、
視
覚
的
に
も
楽
し
め
る
仕
掛
け
が
随
所
に
散
り
ば
め
ら
れ
て
い
る
。
物
語
の
核
心
は
、
果
た
し
て
「
脱
出
」
す
る
こ
と
が
本
当
の
解
決
な
の
か
と
い
う
問
い
か
け
だ
。
平
凡
な
毎
日
の
中
に
潜
む
小
さ
な
違
和
感
に
気
づ
く
大
切
さ
を
、
こ
の
奇
妙
な
ル
ー
プ
体
験
を
通
じ
て
教
え
て
く
れ
る
。
読
後
は
自
分
自
身
の
日
常
を
見
つ
め
直
し
た
く
な
る
、
心
に
残
る
一
冊
で
あ
る
。
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地下通路という閉ざされた空間で展開する、これまでにない読書体験だった。主人公が歩き続ける薄暗い通路は、まさに私たちの日常の比喩そのもの。同じ景色、同じ選択、同じ後悔の繰り返しという設定が、読み進めるうちに深い意味を帯びてくる。 川村元気の筆致は軽やかでありながら、中年男性の心境を丁寧に掬い上げている。異変を探しながら歩く緊張感と、ふとした瞬間に蘇る記憶の断片が絶妙に組み合わさり、ページをめくる手が止まらない。特に紙面の構成が工夫されており、視覚的にも楽しめる仕掛けが随所に散りばめられている。 物語の核心は、果たして「脱出」することが本当の解決なのかという問いかけだ。平凡な毎日の中に潜む小さな違和感に気づく大切さを、この奇妙なループ体験を通じて教えてくれる。読後は自分自身の日常を見つめ直したくなる、心に残る一冊である。