『犯人と二人きり』
高野和明による初の短編集は、ミステリーを基軸にホラーやSF、サスペンスといった異なるジャンルを縦横無尽に駆け巡る7つの怪事件を収録。各話で変化するテイストと短編ならではの鋭利な切れ味が光る一冊だ。
面白い小説本気レビュー
高野和明による初の短編集は、ミステリーを基軸にホラーやSF、サスペンスといった異なるジャンルを縦横無尽に駆け巡る7つの怪事件を収録。各話で変化するテイストと短編ならではの鋭利な切れ味が光る一冊だ。
辻村深月が描く現代詐欺の心理サスペンス。ロマンス詐欺、お受験詐欺、オンラインサロン詐欺を題材にした3つの中編で、騙す者と騙される者の心の奥底に潜む欲望と不安を鋭く描き出す。
都市の片隅で起こる心霊現象を追う雑誌記者の物語。恐怖よりも切なさが胸に迫る、社会派の視点で描かれた現代の幽霊譚。1990年代の空気感が物語に深みを与える秀作だ。
三度の離婚を経験した女医が描く、人間関係の毒と向き合う物語。「縁を切る」ことの難しさと必要性を、病院を舞台に鮮やかに描き出す垣谷美雨の『病棟』シリーズ第4弾。
重度障害を抱える主人公が言葉を武器に生きる姿を描いた衝撃作。強者と弱者の境界線を揺さぶり、多数派には見えない現実を鋭く突きつける。攻撃的とも思える文体に戸惑いながらも、その奥にある切実な叫びに心を揺さぶられる。
雪に閉ざされた美しい硝子の塔で起こる連続殺人。古典本格の王道を踏みながらも、読む手が止まらない現代的な魅力で読者を翻弄する傑作館ミステリー。
祖母が残した謎の古地図に描かれた7体の妖怪。その正体を探る旅が、現在と過去をつなぐ壮大な謎解きへと発展していく。豊富な図版とともに読み進める、新感覚のマップ・ミステリー。
日常に潜む恐怖と混乱、そして希望を描いた伊坂幸太郎の力作長編ミステリー。「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる」という普遍的なメッセージが、不穏な状況の中で静かに響く。
小説とは何かを根底から問い直すメタフィクション作品。推理小説のお約束を破る仕掛けから異世界転生の常識を覆す言葉遊びまで、既存の物語ルールを次々と解体していく実験的短編集。
借金に追い詰められたシングルマザーが子どもを守るために選択する危うい道のり。女性格闘家との出会いが運命を変える、現代社会の闇を描いた衝撃作。母の愛と現実の厳しさに心を揺さぶられる。
江戸の芝居小屋を舞台に、一つの仇討事件を巡る真相が多角的に描かれる時代小説。目撃者たちの証言から浮かび上がる人情と真実の物語に心を打たれる。
カルト教団の指導者が石打ちで殺され、遺体に刻まれた解読不能な暗号。療法士への告白という新鮮な手法で始まる物語は、15年前の未解決事件とのつながりを匂わせながら、読者を深い謎の渦へと引きずり込んでいく。
朝鮮王朝時代を舞台に、18歳の医女が恩師の無実を証明するため、宮廷の陰謀と連続殺人事件に立ち向かう。身分制度の重圧と青春の葛藤が織りなす、本格歴史ミステリの傑作。
食べることへの嫌悪感を抱く高校生が主人公の心揺さぶる青春小説。自分の「普通」を疑い、弱さを抱えたまま生きる意味を問いかける。思春期の息苦しさと孤独感がリアルに描かれ、読後には静かな希望が残る。
作家が角川ホラー文庫への原稿を送るたびに担当編集者が次々と体調不良で離脱していく。短編ホラーと編集記録が交互に展開され、現実と虚構の境界線が曖昧になっていく戦慄のメタホラー作品。
SNSで話題の「#神隠し」をきっかけに、渋谷を舞台とした現実と異世界の狭間を描く都市伝説ミステリー。スクランブル交差点やキャットストリートなど身近な場所が異世界へと変貌する様子は、読みながら実際の街を歩いているような臨場感を味わえる。
戦時下の満洲で生きる女学生の日常を通して、戦争が人々の暮らしに落とす影を描いた作品。物資不足や勤労動員が「当たり前」になっていく恐ろしさと、記憶を次世代へ伝えることの意味を問いかける。
孤島に集まった9人を縛る謎の戒律。「犯人を探してはならない」という禁止事項が織りなす新感覚のクローズドサークルミステリー。3日間の緊迫したサバイバルの中で繰り広げられる心理戦と推理に息つく暇もない。
大学院生と伝説の映画女優との共同生活を描く静謐な物語。戦後を生き抜いた女性の記憶と現在の若者の迷いが交差し、人と人とのつながりの尊さを静かに浮き上がらせる吉田修一の繊細な筆致に心を打たれる。
終戦直後のラバウル捕虜収容所を舞台に、10万人の日本兵の中で密命を受けた元情報将校が忠臣蔵上演に挑む異色の戦後サスペンス。舞台づくりの裏で蠢く陰謀と、密林に封じられた戦時の謎が絡み合う傑作。