『まいまいつぶろ』
口の不自由な将軍・家重と、その言葉を理解する唯一の小姓・兵庫の絆を描いた歴史小説。従来の「暗愚な将軍」像を覆す新たな解釈と、権謀術数渦巻く江戸城の政治劇が見事に融合している。
面白い小説本気レビュー
口の不自由な将軍・家重と、その言葉を理解する唯一の小姓・兵庫の絆を描いた歴史小説。従来の「暗愚な将軍」像を覆す新たな解釈と、権謀術数渦巻く江戸城の政治劇が見事に融合している。
バブル時代の残像と20億円のクラシックカーを巡り、還暦の居酒屋店主が過去と向き合う。大沢在昌が描く大人のハードボイルドは、時代の重みと切ない恋愛が交差する新境地だ。
高校中退の孤太郎が店長代理を務めるボードゲームカフェで繰り広げられる、恋と秘密が絡み合う青春群像劇。巧妙な構成と予想外の展開で読者を魅了する傑作だ。
異能力者と熱血刑事のバディが、新型ドラッグ事件に挑む近未来クライムサスペンス。正反対の二人が織りなす人間ドラマと、現実的な薬物問題への鋭い視点が印象的な傑作だ。
感染症という現代にも通じるテーマを扱った第16巻。猫猫の医学知識と推理力が光る中、善意と悪意の狭間で繰り広げられる人間ドラマが心に残る。医療ミステリとしての完成度の高さに唸らされる一冊だ。
澤村伊智が仕掛ける「小説だからこそできる」恐怖の罠。車内での怪談会から始まる密室の恐怖、語り手の正体が揺らぐ不穏な物語まで、読者の認識を巧妙にずらしながら畳み掛ける全7編。単なる怪談を超えた、文学的仕掛けに満ちた傑作短編集である。
進学校に通う高校生たちの受験への重圧と友情を描いた青春小説。家族の病気や家業継承の期待など、それぞれが抱える事情と夢の狭間で揺れる姿が切なく響く。
娘のいじめ自殺未遂で被害者の親となった教師が、家族崩壊と疑心暗鬼の中で真相に迫る衝撃作。SNSが生む二次被害の恐ろしさと、予想を裏切る展開に最後まで息が抜けない。
内館牧子が描く現代の「老害」問題。引退後も現役気分の元社長を中心に、高齢者の承認欲求と家族関係をユーモアと皮肉で浮かび上がらせる。自分の将来を考えさせられる一冊だ。
十七歳の夏の邂逅から始まる、影なき人々が住む謎めいた街の物語。壁に囲まれた世界で「本当の自分」とは何かを問いかける村上春樹の新たな傑作。
複数の視点が絡み合いながら一つの事件を描く社会派ミステリー。殺人事件を軸に、それぞれが抱える「守りたいもの」が予想外の形で結びつく構成に圧倒される。芦沢央が描く人間の暗部と希望が胸に迫る傑作。
1992年と2002年を舞台に、時の流れが歪み始める恐怖を描いた法条遥の傑作SF。タイムリープに隠された謎と、積み重なる矛盾が読み手の思考を限界まで追い込む、一筋縄ではいかない問題作である。
コロナ禍の謎を国際謀略の視点で描く、スケール感に圧倒される一冊。1920年代から現代まで、時空を跳躍しながら歴史の暗部へと迫る手法が見事だ。MI6エージェントたちの機知に富んだ駆け引きも魅力的で、現実と虚構の境界を曖昧にする圧倒的なリアリティに引き込まれる。
コロナ禍を背景に、日常に潜む恐怖を丁寧に炙り出した傑作短編集。川上未映子が描く人間の内面の闇は、読み終えた後もずっと心に棲みついて離れない。
戦後ハリウッドと現代ロンドンを舞台に、特殊造形師とCGクリエイターの二人の女性を描いた、映画制作への深い愛と敬意に満ちた傑作。アナログからデジタルへの変遷の中で、表舞台に立たない職人たちの誇りと葛藤を丹念に綴る。
娘を殺された夫婦の復讐劇に、飄々とした死神が同行するという奇想天外な設定。極限状況でも独特のズレた会話で緊張を和らげながら、最後まで一気に読ませる伊坂ワールド全開の長編ミステリである。
元弁護士が「合法復讐屋」となった理由と、相棒との運命的な出会いを描くシリーズ第3弾。二人の絆の原点に迫る、読み応え十分な一冊である。
絶望の中にいる青年と、命に限りのある母親が桜の下で入れ替わる。よくある設定と思いきや、生と死という根源的なテーマに真正面から取り組んだ、魂を揺さぶる一冊。涙が止まらない。
湊かなえが描く家族ミステリー。ごみ屋敷と化した実家を片付ける中で見つけた金庫から、隠された叔母の秘密が浮かび上がる。認知症・介護・嫁姑問題といった現実的な家族の悩みを背景に、胸に迫る人間ドラマが展開される。
太宰治の名作をミステリー仕立てにアレンジした異色作。親友を救うため急ぐメロスの前に連続する殺人事件。コメディとミステリーが絶妙に融合し、二度読みしたくなる仕掛けが満載だ。