『わたしの知る花』
孤独死した老人の部屋に残された美しい花。女子高生・安珠が辿る老人の真実とは。章ごとに語り手が変わる巧妙な構成で、花束のモチーフが記憶を呼び覚まし、世代を超えた人々のつながりが胸に迫る連作長編。
面白い小説本気レビュー
孤独死した老人の部屋に残された美しい花。女子高生・安珠が辿る老人の真実とは。章ごとに語り手が変わる巧妙な構成で、花束のモチーフが記憶を呼び覚まし、世代を超えた人々のつながりが胸に迫る連作長編。
高校教師の主人公が、人気作家の作品に自分の封印した過去を見つける。創作と記憶、そして消費される痛みを描いた、余命ものの枠を超えた現代文学の秀作。
同居することになった弁護士の快彦と元服役者の亮介。心を閉ざしていた二人が、互いの存在を通して変化していく姿を描いた、薬丸岳による温かみのある人間ドラマ。家族の秘密が明かされる終盤まで目が離せない。
科学捜査の現場を舞台に、土門誠の鑑定技術と人間ドラマが絡み合う短編集。白骨遺体から正体不明の粉末まで、科学の力で謎を解き明かしていく過程が見事に描かれ、キャラクターの内面も深く掘り下げられている。
九つの命を持つ黒猫が転生を繰り返し、記憶を背負いながら人間不信を抱く姿を描いた作品。古書店を舞台に、文学への愛と希望を探る感動的な物語。
桐野夏生が描く、ピル解禁を訴え続けた女性の謎に満ちた人生。証言形式で進む物語は、女性が抱える孤独と痛みを容赦なく暴き出し、読者自身の内面と対峙させる。
桜木紫乃が描く、アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワを中心とした連作短編集。異なる時代、異なる立場の人々がミワと出会うことで、自らの内面と向き合う。静謐でありながら熱を帯びた文章が心に残る傑作だ。
万城目学が描く京都を舞台にした奇想天外な二編。女子寮の謎めいたお局様との共同生活と、信長を巻き込んだ歴史ミステリが交差し、独特のユーモアセンスが光る作品だ。
警察小説の巧者・誉田哲也が仕掛けた異色作。単純な刑事事件の背後に潜む税制と国債を巡る権力闘争を描き、読後には経済ニュースの見方が一変する。硬質な経済論議と緊迫したサスペンスが絶妙に融合した問題作である。
社会人2年目の千鶴が考えた『告白撃』という奇抜な計画が、友人関係を予想外の方向へと導いていく。住野よる特有の軽快な文体が、時に読者の心をざわつかせながらも、青春の複雑さを鮮やかに描き出す作品だ。
教室のスピーカーから響く、亡き友人の声。金子玲介のデビュー作は、声だけになった山田と仲間たちの不思議で切ない日々を描く。青春の輝きと喪失の痛みが胸に響く珠玉の物語。
愛する弟を失った薫子が、家事代行サービスを通じて様々な家庭と出会い、料理と食事を通じて心の傷を癒していく物語。重いテーマを扱いながらも、人との繋がりの温かさが胸に響く。
岡山県の限界集落を舞台に、70年前の大量殺人事件の呪いが現代に甦る戦慄の物語。中山七里が描く土着ホラーと本格推理の融合が、読者を最後まで釘付けにする。
郊外の住宅ローンと税金督促に追い詰められた主婦が、同窓会で持ちかけられた宗教法人による節税話に手を出してしまう。恋愛、不倫、アイドル崇拝といった現代人の「沼」への依存が絡み合い、狂気の連鎖を描いた戦慄のミステリ。
柚月裕子の多彩な才能が炸裂する短編集。ミステリーからホラー、時代小説まで、ジャンルを自在に行き来する13年分の結晶が、読者を次々と異なる世界へ誘う。
引きこもりの息子を抱える家族を通して8050問題に真正面から向き合った林真理子の力作。父親の視点で描かれる家族の葛藤と、現実に起こりうる社会問題の重さに心が揺さぶられる。
凄腕の殺し屋が作家に扮して「最後の仕事」に挑む、スティーヴン・キングの新境地。プロの冷徹さと人間味が絶妙に絡み合い、予想外の展開への期待が膨らむ傑作クライムノベルの幕開け。
認知症を患う元校長の祖父が、孫娘の持ち込む日常の謎を鮮やかに解き明かしていく。推理の瞬間だけ生き生きと輝く祖父の姿が印象的で、家族の愛情と巧妙なミステリーが見事に融合した温かな作品である。
米澤穂信による青春ミステリシリーズがついに完結。ひき逃げ事件に巻き込まれた高校生が「小市民」の理想を貫けるのか。これまでで最も深刻な事件を前に、二人の絆と信念が試される感動的な結末を迎える。
『華佗の書』を巡る医療謎解きが展開する第15巻。猫猫が関わる投薬実験と外科手術の描写は、まさに古代版医療ドラマの緊迫感。新キャラクターも魅力的で、物語の奥行きがさらに深まっている。